温故知新とシーマンシップ

故(ふる)きを温(たず)ねて、新しきを知る。
これは、先人の知識や経験を学び、そこから新たな価値を見出すという意味です。
私が福岡市でボート免許の講習を行う中で、常に大切だと感じているのが、この「温故知新」の精神です。
海の世界では、この考え方は「シーマンシップ」という言葉に集約されています。
ヨットレースの大会では、選手宣誓で
「シーマンシップにのっとり、正々堂々と戦うことを誓います」
という言葉をよく耳にします。
しかし、「シーマンシップ」とは単なる精神論ではありません。
・船を安全に扱う知識
・状況を予測する判断力
・正確な操船技術
・そして先人から受け継がれた現場の知恵
これらすべてを含んだ、海における総合的な能力です。
ボート免許の講習でも、単に試験に合格するための知識だけではなく、
実際に海で安全に行動するための「シーマンシップ」を理解していただくことが重要だと考えています。
その中でも、基本中の基本が「ロープワーク」です。
先日、大型船の係留ロープ(もやい)を外す手伝いをする機会がありました。
小型船舶とは比較にならないほどの緊張感があります。
ロープは太く、
ウィンチの力は強く、
ビットは巨大です。
一歩間違えれば、大きな事故につながる危険があります。
だからこそ、正しい知識と手順が必要になります。
これは単なる理論ではなく、長年現場で培われてきた経験の積み重ねです。
ボート免許を取得することは、単に船を操縦できる資格を得ることではありません。
海の安全を守るための「シーマンシップ」を学ぶ第一歩でもあります。
先人の知恵を学び、実践し、そして次の世代へ伝えていく。
まさに「温故知新」。
これからボート免許を目指す方にも、この本質を大切にしていただきたいと思います。
菅原海事事務所


