プロのこだわり

とある日曜日、東京にいる知り合いをお見舞いに行ったときのことです。
昼前には病院に着きそうでした。

病院の周りを見回しましたが、食堂らしき店が見当たりません。
一軒だけ目に入ったのが、昔ながらの「お寿司屋さん」でした。

お腹も空いていたので、迷わず入店。
カウンターの向こうでは、いかにも頑固そうな大将が寿司を握っています。
客は二組。どちらもどこか遠慮がちに食べていました。

大将は手を鳴らして拍子をとりながら、無口に寿司を握っています。
しばらくして、ぽつりぽつりと口を開きました。

「こうして食べろ」
「しょうゆは、つけすぎるな」

いわゆる「こだわり」というやつです。
こちらは空腹だったので、黙って言われるままに食べました。

しかし、店を出てから、なぜか無性に気分が悪くなりました。

「食べさせる側が“こだわる”のではなく、
食べる側のこだわりを実現するのがプロなのではないか」

そんな思いが頭をよぎったのです。

ところが、歩きながらふと反省しました。
「自分も、同じことをしてはいないだろうか」

私にとってのお客様は、小型船舶操縦士免許の講習を受講される方々です。
この人たちは、なぜボート免許を取得しようとしているのか。
海に、何を求めているのか。

教える側の“こだわり”を押しつけていないか。
受講される方一人ひとりの目的に、きちんと寄り添えているだろうか。

あの寿司屋での出来事は、
改めて「プロとは何か」を考えさせてくれました。