『選』

最近、気にかかる文字があります。
それは『選』。
選挙が印象的だった今年。
「選」という字をあらためて眺めると、
「己」+「己」+「共」+「しんにゅう(行く)」でできています。
――自分と自分、そして共に行く人を選ぶ。
そう読むと、なんだか今の時代にふさわしい文字にも思えます。
先日、漢字研究の第一人者・白川静氏の字典でこの字を調べました。
つくりの「巽(そん)」には、こんな由来があるそうです。
「共」は舞台を表す象形文字で、その上で「選ばれた二人」が舞う姿を示している。
この説明を見つけた時、映画『国宝』での二人の舞いの場面が浮かびました。
まさに「選ばれた者たちの舞」だったのです。
もう一つ、気になる文字があります。
それは『望』。
「希望の望」です。
「亡」+「月」+「王」。
一見、「亡」が入っていて不思議ですよね。
実は「王」は大地を、「月」は夜空を、そして「亡」は月を待つ人の姿を表しているそうです。
つまり、「望」とは「月を待つ人」――「満ちる月を待つ心」。
だから「望月(もちづき/まちづき)」という言葉が生まれたのですね。
「王」が大地を表すなら、「聖」という字も興味深い。
「耳」と「口」は、情報を聞き取り伝える知恵を表します。
「聖(ひじり)」とは、「日を知る人」。
季節や太陽の動きを読み取り、農業の時を知る「翁」のような存在だったのではないでしょうか。
私が担当している福岡のボート免許講習でも、
単なる試験対策にとどまらず、
自然・気候・先人の知恵などの話を交えています。
そんな時、受講生の視線が熱くなるのを感じます。
――講師冥利に尽きる瞬間です。


